考える塾であり続ける

 数学でも化学でも物理でも,「理屈はわかる,でも問題が解けない」という生徒は今も昔もたくさんいます。私は理屈がわからないから無理に丸呑みしていた方なので,これからお話することを偉そうに言うのは正直気が引けます。

有機化学は呪文を作って暗記していました。授業中にお経のごとくぼそぼそ唱えていて,周りのクラスメイトに迷惑をかけたと思います。当時は教科書の内容をそのまま知っていれば,たいてい同じパターンで出題されて順当に解ける問題ばかりだったのです。今では信じられませんが,四半世紀前の名大入試の化学は満点をとって当たり前でした。物理は出来不出来が大きく分かれていました。数学はどうだったのかな…。今はどれもかなり難化していますが…。数学はかなり難化していています。物理は今年の問題は厳しかったですね。考えないと解けないです!いや,考えても無理な問題もあります。

 大学入試は高校までに学ぶべきことを示すものであるべきだと思います。実際にそういう思いで入試問題はつくられていたと思っています。最近は単に暗記しているだけではなく,知識をいかに使うかが問われています。そして新規な知識を与えた上で手持ちの知識を使って解かせる問題も増えています。予備校の模試では太刀打ちできない良問が出ています。

 昨今の塾や予備校界隈を見ていると,昔の入試問題の印象で指導している方がいるのが気になります。将来の入試の姿を想像する努力が必要だと思います。自戒を込めて。

 珍トリビアを重要公式だと教え,特定の問題のみに通じるテクニックを教えることに血道を上げる教育に未来はありません。テクストをきちんと読んで,書かれている意図を正確に把握して,泥臭く考えに考え抜いて一つの答えに到達する姿勢が重要だと思います。

 学校教育が大きく変わっています。それに合わせて予備校や塾も変化していかなければなりません。時代の要求にかなう教育を提供していきたいと思います。

 こまごました知識はさておいて,ものごとの本質をきちんと指導することが大事だと考えています。いや,知識ならば優れた書籍がたくさんあります。書籍に書いてあることを学びにくる酔狂な生徒は今後いなくなるくらいのつもりで将来の指導の仕方を考えています。

 どう学ぶか。どう知識を生かすか。どう育つか。たくさんの可能性を持った子どもたちが生き生きと育つ環境を用意したいと思います。

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