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 このブログに何本もブログを書いています。結構役に立つ内容を書いているという自負がありますが,ほとんど読まれていないという事実が悲しい…。私の提供している情報に重大な瑕疵があった場合は,それが見られることがないことによるメリットも多くあるわけですが,そんなの嬉しくも何ともありませんからね!

 今日は高校二年生の反応速度の話をしました。

 やっている計算は何かの増加・減少速度を計算するだけなので,大したことはありません。しかし,その裏にある理論がかなり難しかったりします。専門書で1000ページを超える大部の書があったりします。その名も「速度論」。大学生時代によく図書館で参照していました。10,000円を楽に超える定価なのでおいそれと買うことはできませんでした。

 一次反応と反応速度式について触れました。一次反応は下記のようにある物質のの濃度変化を一定の時間ごとに追っていってデータを集めていきます。

 0~5分,5分~10分,10分~15分で平均の濃度を計算して,平均の減少速度を計算して,これらで割り算をするとほぼ同じ商が得られるという議論になっています。もちろん実験なので,多少の誤差はあります。しかし同様な値が三つ出てきているので,この3つの値の平均値を「反応速度定数」として使用することができます。

 すると,この反応の速度は過酸化水素のモル濃度の一次式に比例することになります。過酸化水素濃度の一次式で反応速度が表せます。

 うるさいことを言うと,
反応速度(平均値)=反応速度定数×平均濃度
という式になるのですが,ここでは「平均」の二文字を外して
反応速度=反応速度定数×濃度
という式で反応速度を表せるということにしましょう。
(なぜこんなことができるのかを考える感性がある人は研究者に向いているかもしれません)

 反応速度式の話に移ります。

 反応の速さは,「反応する物質の出会いの確率」と反応したものが出会った際の「勢い」で決まります。反応物の出会う確率=反応物の濃度に指数がつくことがありますが,この指数を求めようという問題です。

 化学平衡を学んだあとで反応速度に戻ると,なぜ反応式の係数を反応速度式の指数にしてはいけないのかと疑問を持つ人がたくさんいます。それは非常にいい質問です。化学反応では一段階で反応が終了するいわゆる「素反応」はごくわずかで,通常は細かい反応ステップが何段階もあって一つの化学反応が終結します。この「何段階もある素反応」の影響を考えなければならないので,濃度につく指数は単純には決められませんん。実験をしないと求められないのです。それを考える問題ですね。

 高校二年生の授業の後は高校三年生の授業に移りました。今日は酸・塩基の滴定全パターンと,酸化還元滴定の標準問題を解く方法を復習しました。

 Twitterでも書いていますが,アンモニアを定量する逆滴定では,硫酸をアンモニアと水酸化ナトリウムで滴定するという簡単な話に帰着できます。計算問題だけならば正答率は高くなると思います。しかし!!指示薬の選び方はどうしますか?

 ここではあまった硫酸と水酸化ナトリウム水溶液との中和なので,一見強酸と強塩基の中和反応に見えてフェノールフタレインもメチルオレンジも両方使えるように見えるのが怖いところです。

 フェノールフタレインってまずいの?

 そう思える感性を付けましょう。そう!まずいです。だって水酸化ナトリウムで希硫酸を中和し終えた段階では、塩として硫酸アンモニウムが残っています。すなわち弱酸性の状態です。中和完了は弱酸性なわけです。それなのに指示薬にフェノールフタレインを使ってごらんなさい。塩基性になって,硫酸の中和が完了しているのに塩の硫酸アンモニウムまで反応してしまいます。このときに加えている水酸化ナトリウムの量はもちろん滴定計算には使えません!

 それではこれはどうでしょう?二酸化炭素の定量をしようとしています。多量の水酸化バリウム水溶液に二酸化炭素を通して,炭酸バリウムができているところに塩酸を加えて中和滴定をしています。ここでは炭酸バリウムをろ過していることがポイントです。炭酸バリウムがあるのとないのとものすごく大きな違いになります。ここでは炭酸バリウムがろ過されていて,塩酸と水酸化バリウムの中和反応を考えればいいので,強酸と強塩基の中和滴定なわけです。指示薬はフェノールフタレイン,メチルオレンジどちらも大丈夫です。

 ではもしろ過を行わなかった場合は…,水酸化バリウムの中和が終わっても炭酸バリウムの沈澱が残っている以上はこのときの液性は塩基性なんです。そこに塩酸を加えると,指示薬にフェノールフタレインを用いていれば水酸化バリウムを中和した時点で変色するのでいいのですが,メチルオレンジを使ったら失敗です。炭酸バリウムは弱酸の塩で,強酸と反応してしまいます。メチルオレンジの色が変わるような酸性条件下では水酸化バリウムが中和を終えた後,炭酸バリウムが塩酸と反応してしまいます。だからメチルオレンジの変色点を迎える頃には,炭酸バリウムをある程度溶かしてしまっています。余分に塩酸を加えてしまっていて正確な中和滴定ができないということです。

 今回は二段滴定と酸化還元滴定も行いました。とくに二段滴定とヨウ素滴定は苦手意識を持つ人が多いので,きちんと勉強しておくことをお勧めします。二段滴定を勉強するうえでヒントになる写真を載せておきますので,ぜひ参考になさってください。

 正直これだけでは…と思いますが,塩基が混ざっているときは強い塩基から順に中和反応をすることが重要です。
①NaOH + HCl → NaCl + H2O
②Na2CO3 +HCl → NaHCO3 + NaCl
①,②の反応がすべて終わったあと,③の反応が起こります。
③NaHCO3 + HCl → NaCl + H2O + CO2

 第一段階で使う塩酸の量と第二段階で使う塩酸の量で連立方程式を立てましょう。それを解くと中に含まれている塩基の物質量を簡単に求めることができます。反応式を完全に頭に入れていればもっと早く解くことも可能です。

 まあ,頑張ってください。復習が大事ですよ!

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